わたしの散歩道ー駒場公園周辺




わたしは、『もの書き』という職業上、散歩を日課にしている。運動不足解消のためには、一日、最低でも一時間は歩かないと、体がなまるそうだが、もうとっくに『なまり』は訪れている。それに、ただ、健康を維持するために散歩する、という、なかば強制された行為は、元来好まない。ただ、好きで歩く。これが、一番、長続きする秘訣だ。人間、好きなことをやっているときは、とても活き活きしているし、少なくとも自分のためにはこれがもっともよい。歩きたいから歩く。「山があるから登るのだ」と同じように、道があるから歩くのだ。それでいいではないか。
さいわい、わたしの住んでいる下北沢周辺には、一時間以内で往復できる、公園などが多いので、今回は、主に駒場周辺を写真を見ながら紹介したい。難いことは抜きにして、わたしとともに歩きながら、一緒に楽しんでいただければそれで十分。長ったらしい文章を読まされた頭と目に休息を与えてュださい。
まず、地図をあげねばならないが、それはここのサイトをたどっていくとMAPIONというのに出くわすだろうから、それで十分確認をどうぞ。公式の地図ですから、このあたり周辺ばかりでなく、日本全国の地図を見ることさえできます。余談ですが。
街路に立っていた、駒場周辺のマップを写真に収めておきましたが、なにぶん、安物のデジカメゆえ、文字まではっきりと写らない。緑色の部分が公園で、かろうじて井の頭線と、駒場東大前駅の判別がつく程度。それで十分。方向さえわかればよい。というのは自分勝手か。でしたら、MAPIONの詳細な地図を参照するか、直接、こちらへいらしてご散歩ください。
駒場といえば、まず、駒場公園をあげねばなるまい。とはいえ、ここは一風変わった公園で、いわゆる広場よりも『近代文学館』『旧前田藩邸』があることで名を知られている。しかし、無知と言うのは恐ろしいものですね、わたしはてっきり『近代文学博物館』のことを『近代文学館』だと思い込んでいました。なにしろ入場したことがないのだから、わかるはずはない。単なる散歩道として、いつも通り過ぎてしまうのだから。
ゲートを通り過ぎると、砂利道。すぐ左手奥に『旧前田藩邸』がある。記帳して靴を脱ぎ、何畳かの畳をすり足で歩いていくと、さほど大きくはない庭園に行き着く。そこには、池もあって、清水のなかを緋鯉が流れと戯れている。日本的情緒たっぷりだが、庭に下りることは禁止されている。『徒然草』の「・・柑子の木の枝もたわわになりたるが・・」という一節を思い出した。
すでに、申し上げたが、いくたび訪れたか知れないわたしは、まだ、一度もその中に入ったことがない。それどころか、『日本近代文学館』は前述した『旧前田藩邸』の真向かいにあることを、今度、始めて知った。
ここに写されているのは正真正銘の『近代文学館』である。外見からして、いかにも近代的だとは思われませんか。
ゲ[トをくぐって、巨木を通り過ぎた左手、手前には『近代文学博物館』が周囲の木々に負けんばかりにそびえ立っている。この建物はオブジェとしては適当らしく、また、木々に囲まれた環境もよいせいか、真冬でも写生する人に事欠かない。日当たりがよいというのも、条件のよさから外すことはできないだろう。冬の陽だまりで、ゆったりと写生を楽しむ。悠悠自適の生活にはもってこいだ。
次にあげるところは、日本民藝館。わたしは、中に入ったことがない。ただ、通り過ぎるだけだから。おそらく、いくつかの展示品、日本全国の民藝品に関する資料が集められているのだろう。ここも入場者の絶えない場所だ。『民藝館』という名から推して、年配者が多いと想像していると、裏切られる。最近は、アンティーク・ブームのせいか、若い人もけっこう多く、なかには、明らかに女性週刊誌の取材者たちと見られるむきも少なくはないからだ。
これは通りをへだてた向かい側にある建物なのだが、ごらんの通り、『日本民藝館』とい、看板があるところをみると、こちらが本館なのかもしれない。が、駐車場と土蔵めいた建物しかなく、入館できるのは先にあげた建物。
大人¥1000,子供¥500。
『散歩道』というくらいだから、道を紹介しなければなるまい、ということで第一の道は駒場東大前から東北沢へ抜ける道。冒頭にあげた写真へお戻りください。
この道は「いつか来た」かどうか知らないが、そこからの延長上の道。ポプラかどうか確かではないが、舗道に一定間隔で並んでいる並木は、夏にはその大きな葉で日陰を作ってくれ、秋になると、紅葉して目を楽しませてくれる。欧米人のジョッガーが好む通りでもある。
場所がら、また、比較的、自動車の通行が少ないせいもあるだろう。
この通りの特徴は、レストランを兼ねて、手料理をごちそうしてくれる民家が何軒かあることだ。この写真のように看板を出している家もあれば、ただ、メニューだけをホワイト・ボードに書いただけの家もある。もっとも手軽なSOHOだ。もっとも、レストランをオフィスと呼んでいいものかどうか。ま、あまり細かいことにはこだわらないでゆきましょう。
値段も手頃だし、味もそれぞれの家の手料理といった感がして、けっこう、いい雰囲気ですよ。
ただし、今はもう辞めてしまったようです。
ここから、空を見渡すと、建造中の大きな建物が見える。これは、『超・・・法』シリーズで一躍、財産を成した野口悠紀雄氏のおられる東大の先端研究所の新しい建物だ。時計台もある古いほうの建物もなかなか風情があって、残しておきたいものだ。十トントラックの出入りが激しく、危ないから気をつけるように。
ここは、もう、駒場東大前駅から井の頭線の線路沿い。入り口の石碑に刻まれているとおり、有名な>留学生会館なのだが、踏み切りを通り越して来てしまう人が多いので、よく外国人に道を訊かれる。
国籍不明の外国人がうろうろしているが、ここへ入るくらいの人だ、危なくはあるまい。最近は、物騒だからね。 さて、留学生会館を反対方向へ進めば、わが懐かしき東京大学教養学部へ導かれます。というより、井の頭線、駒場東大前駅の北口へ出れば、この写真のように東大へしかいけない。左に折れれば、留学生会館方面に出られるわけです。
東大教養学部時代、ちょうど二年の夏休み明け。登校したら、いきなりロックアウトで授業放棄。いわゆる「大学紛争」の始まりです。ま、まいにち登校しては、クラス討論ばかり。つまらないので私らノンポリ組は線路を隔てた向こうの麻雀荘へ。朝から出勤して(笑)昨晩のなごりの後片付けをやり始めるやつもいました。馴染みの店はおばさん、おねえちゃん二人とも忙しく、私らが場代の管理をしたり、ラーメンを頼んだり、便所掃除をしたり・・・こうなると麻雀荘のおやじです。授業のときはほとんど寝ているやつが何とまあこまめに働くこと。正月はここで新年会でしたよ。
さてちょっと寄り道して、お休みしましょう。実はこの中に、「フランス料理店」があるのですよ。驚きましたか?結構、常連もいて「知る人ぞ知る」存在です。私ら在学中は確か「同窓会館」という建物でした。洋館と別館があって、洋館のほうを「フランス料理店」に改造したようです。
中はこのようにお客さんは学生、先生、常連客、うわさを聞きつけてやってきたグループとまちまち。私はたいていランチにワイン(赤しか飲みませんが)、そして食後にコーヒーです。
ランチが1,000円、ワインが450円ですから、安上がりで気分は上々、お近くの方、一度いらしては・・・・・・

※2010年に閉店した模様です※




さて、気分を改めて散歩を続けましょう。駒場公園、民藝館、留学生会館まで来たのだから、そこの井の頭線の踏み切りを渡る。すると、そこはもう駒場野公園の入り口。ここを駒場公園と勘違いするあわてものがよくいるから、ご注意。駒場公園ですよ。
自動車、自転車進入禁止の標識が目を捉えるのは、確かにその役を果たしているけれども、これが美観を損ねているとは思われませんか。『さうざうし』いね。素材になる木材はあまるほどあるのだから、それで『らしい』のを作ったらどうか。
ここは、もとの教育大学農学部の跡であるせいか、ゲート左手に”たんぼ”というか、水田があり、どこか付近の小学校の生徒たちが稲を植えている。それで秋になるとこうして、さまざまに工夫をこらして作られた『かかし』が、一列に整列しトいるというわけ。
近くから写真を撮ろうと思って水田のほうに降りていったら管理人に叱られたので、このように遠くからの映像になってしまった。望遠レンズも欲しいなあ。
これまでは速足で歩いてきたので、これからは多少スピードを落とすことにしよう。これが、いわゆる公園らしい広場の一部です。紅葉が美しいですね。やはり、日本が一番美しくなるのは、紅葉の季節、秋ですね。
一人、人間が見えますが、このオッさん、三十分経っても動かない。三脚を立てたまま、うろうろしている。光の加減を見計らっているのでしょうか。プロのカメラマンかな。この写真でははっきりしませんが、彼が写そうとしているのは、『十月桜』という、秋に花を咲かせる珍しい種類のものです。
ほら、これです。なかなか見事なものでしょう。桜は"ソメイヨシノ”でなくとも、華やかですね。あたりが紅葉し、そして落葉していく時期にこのように花を開かせるものもあるのですから、自然界の豊穣には感嘆せざるを得ません。特に今年は暖かかでしたから開花も例年より遅いようでした。それだけに、いっそう、華やかさが目を惹きました。
この公園をこの時期に訪れる人が一様に感心するのも無理はありません。写真で見ても、なかなか立派なものでしょう。
今度は、その『十月桜』の後ろあたりから入り口のほうをのぞいてみましょう。柵が竹で作ってある。ゲートの進入禁止標識もこのようにしたら、どれほど興ざめしなくて済んだことか。一考をのぞみたいところです。
この一望できる景色、わたくしの好みなのですね。
以前、この公園には五十羽ほどの鳩がいて、パンくずなどを持っていると、あっという間に取り囲まれて、手や頭に乗ってこられて閉口したものですが、管理人の無粋な考えによって放逐されてしまい、いまはずうずうしいカラスが取って代わっています。
しかし、ネコは健在です。やはり一時は放逐させられたのですが、一ファミリーはしぶとく生き残っていて、けっこう、ここの人気者になっています。どうです。陽だまりで、ひと時のまどろみを楽しむネコ。わたしもこうありたいですね。
どこの公園でも紅葉は美しい。ここのも紹介しておきましょう。この、柵に囲われた木に鳩がとまっては太い枝を裸にしてしまうので管理人は鳩の追放を決行したのでした。でも、これだけ木があるのだから、一本や二本くらい鳩にあげてもいいのに。要するに、鳩の糞の掃除が一番面倒だったのではないかな。枯葉の掃除というのも、広い公園になると一日がかりの仕事ですね。
ここでちょっと駒場公園へ戻って、銀杏の葉のじゅうたんを見てみましょう。
どうです。なかなか、粋なものではありませんか。黄金の葉のじゅうたん。掃除する身になってみれば大変かもしれないが、そこを訪れるものにとってはこの上もない、すばらしい景観です。管理人さんたち、もう少し来訪者の立場にたって、何をその人々たちは求めているのかを考えてください。無理な注文でしょうか。
わたしは、まるで子供が雪の上をはしゃぎ回るように、その黄金のじゅうたんの上を歩いていてあたかも天国にでもいるかのような気分になることが出来ました。管理人さんには、この気分、わからないだろうね。
ものはついで。ネコが出てきたので、鯉を思い出した。やはり駒場公園、『旧前田藩邸』の庭のことに触れましたが、そこの小川に遊ぶ鯉をここで見ておきましょう。写真を大きくしておきましたので、清水の中を泳ぐ緋鯉の姿が見えると思いますが、いかかでしょうか。
素人にとっては、ここの撮影は非常に難しい。なんと言ったって一日中、光線の具合がよろしくない。よほど、性能の良いカメラと、腕の良さが必要ですね。
また、話は駒場野公園へ戻ります。広場の奥にはテニスコートと屋内プールがあります。テニスコートは自由な出入りが禁止されていて写真は写せない。そこで、屋内プールの外観を写してきました。しかし、こういう建物の外観というのは殺風景なものですね。つまらないものを写してしまった。だったら、載せなければよいのに。
その隣には、東京都立国際高等学校があり、この体育館はかなりモダンな外観をしているので鑑賞に堪える。国際高校という名前のせいか、なぜかインタナショナルな感じがするから不思議。人は言葉にだまされやすく、先入観には弱い、ということか。
若者たちがサッカーに興じている。そういえば、わたしにもそういうときがあった。と考えるのは、年をとった証拠だ。
駒場周辺を回り、『池ノ上』駅を通り過ぎて、そろそろ下北沢が近くなってきた。そこに一軒、不可思議な家がある。というほどのものではないが、庭が温室になっていて、一年中、花屋さんのように生花が絶えないのですよ。始めはてっきり花屋さんかと思ったが、それにしては正札がどこにもない。大きな犬が二匹、小さなのが一匹いるのだが、この日はどこかへ消えていた。どこへ行こうが、わたしの関与することがらではない。
これも今はもうない。時は無常に過ぎ行く・・・・・
とうとう、『茶沢通り』へ出てきました。この名前の由来は、三軒茶屋の『茶』と北沢、もしくは代沢の『沢』を合わせたものと思っているが、べつに間違いというわけでもないだろう。この『白樺』という骨董屋、古くからの知り合いで、たいして売れているわけではないのに、なぜか今もある。「藤田嗣治の若い頃の絵を10万で売る」と言われたのは、もう二十年以上も前の話だ。買っておけばよかったかなあ。はたして、本物だったのだろうか。だとしたら、たいしたものでした。
いまでは、やっているのかどうかも定かではない。生きているのか、あのおやじ。写真ではよく見えないが、下の階が、まるで現代彫刻よろしく、いろいろな形をした木材で貼り付けられている。「あれはどのような意図をもってなされたのか」と、通り過ぎがてら、いつもそう思う。
ここら辺りももう全く変わってしまった。
もう、一番街を横に折れて、京王線の笹塚方面へ向かう道に入っています。なんといっても、速足だから。その途中に、記念樹として保護されているヒマラヤ杉の大木がある。樹齢、何百年だろうか。根元に近い幹の直径が1m近くある。これが、民家の庭に4、5本、にょきにょき生えているのだから、半分、こっけいでもある。
しかし、こうしてカメラを持って歩いていると、この写真でもわかるように、電柱が本当に街の景観を台無しにしていることが、身にしみてわかった。このように、どのようなアングルから狙おうが、この杉の木だけを撮ることはできない。カメラマンのみなさん、ごくろうさま。
下北沢駅前でもよく撮影をしているが、あの人たちもいろいろ苦労しているのでしょうね。そういえば、写真家の浅井慎平(だったかな?)さんとよく街中ででくわす。面識はないが。

今回、わたしもずいぶん写真を撮った。百枚はゆうに超える。その中から厳選したわけでなく、目に付いたものをあげたのだが、あのデジカメという奴は、まさに電池を食っちまう。単三の電池二本をカメラに入れスマート・メディアに記録するのだが、画像処理をカメラを使って実行すると、まず二十枚くらいの写真をサムネイル表示(カタログのように画像全体が並んで縮小表示されること)し、そのうちの一枚を切ったり、縮小したりすると、それでもう電池切れの表示が出てしまう。たまらず、PCカードを買ってきて、画像処理はパソコン自体で行うようにしたが、それでも、二十枚撮りを二回くりかえすともう電池切れだ。デジタルというのは金がかかるものだと痛感した次第。
とうとう最後になりました。ここは家の前の『どんぐり広場』でしめくくらねばならない、という理由はないが、そうすることにする。ちょうどモミジの紅葉具合がよかったので、それでひとまず、幕を下ろすことにしよう。
家の前にこうした広場があるというのもなかなか便利なものですよ。午前中は保育園の園児たちがやってきて、ひと時、賑わい、多くの愛犬家たちが犬を連れて散歩に来る。夕方から夜中にかけては、どこか知らん、高校生がやってきて騒いでいく。それ以外は、実に静かなものです。道、一本入るだけで、こんなに静かになってしまう。

都心へは30分で出られるし、ふだんは死んだように静か。それで、ここを離れることができないのですね。また、機会があったら、今度は『梅が丘』の羽根木公園あたりを紹介しましょうか。こうして、デジカメ一つ持ちながら散策するのも楽しいものです。
けっこう、癖になりそうですね。気をつけよう。それでは・・・・


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